楽健法に捧げる詩 
 
 
 陽のなかの、足裏        岩堀 純子
 

足の付け根を踏むと、「イタイ」と叫び声があがる
力を入れると、「イタイ、イタイ」と声はさらに大きくなった
初めて彼女と踏み合ったのは二年前
今では叫び声はあがらない
空気がいっぱい詰まったボールのように
反発していた太ももは
わたしに踏まれるのを受け入れている
太ももから膝へ
木の枝のようにしなう腕
なだらかな背中から溢れでる腰へ
美しいお尻を滑り降り
強く、ゆっくり
ふたたび、太ももをこえてゆく
緩んだ背中を抱くように
躰を屈め、手をそっとおくと
ふたりは、ひとつに重なる
彼女の頬がうす紅色に透けている
今はない母親に似ている
母親の若かった頃に
明るいブラウンの目、短い指もそっくりだし
困っている人の力になろうとするのも同じだった
彼女も、わたしも
からだを洗うあたたかい水を受け継いでいる
母、その母、そして、その母
遠くにいる母たちが呼び交わす
わたしたちは遥か昔のように並んで横になり
開いた窓から昼の白い月を眺める

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