宗像神社頭屋講お祭り            (お渡り)

平成20年10月18日(土)・19日(日)宗像神社に於いて、宗像神社頭屋講お祭り(お渡り)が行われました。宗像神社頭屋講による、お渡りの歴史は古く、元禄時代から現在に至るまで受け継がれています。古くから、暮らしと祭りと神の間には、深い繋がりがあります。祭りは、神と神を祀る者との暮らしの証であり、人々は神を祀る事でその先の暮らしが約束され、祭りは神への最高の奉仕と考えられています。神社でのお祭りをはじめ、神社や神の御使いとしての役目をするのが頭屋です。頭屋に選ばれた者は1年間、神を自宅にお迎えしてお祀りし、精進する事が必要となりますが、神に最も近い存在として、頭屋に選ばれた事は、とても名誉な事であると、言われています。お渡りとは、1年間神と神への接待を任された頭屋が来年の頭屋(受け頭屋)に神を受け渡す儀式のことです。外山区には、大頭屋講と古頭屋講の2つの頭屋講があり、それぞれ8人の頭屋で構成されています。昔は、頭屋の人数も多く、一生に一度頭屋に選ばれるくらいだったと聞いています。そして、それぞれの頭屋講で、お渡りの儀式が行われます。

古頭屋講(10月18日) 大頭屋講(10月19日)
頭屋の自宅から、神社まで(おやかた)(御神体・神)をお連れして行列されます。
頭屋と受け頭屋は、神職の装束で列の前方を行かれます。形を持っておられるのが
頭屋で、御幣を持っておられるのが受け頭屋です。神が頭屋の自宅を出られる前に
古頭屋では、頭屋の自宅でこんにゃくの白和えを作り頂くお祭りがあり、大頭屋では、
しめ縄を作り神社の拝殿に奉納するというお祭りが行われます。これは、頭屋同士の
共同作業により、共同体の結合の強化を図る、一つの手段であったと考えられています。
古頭屋お渡り行列大頭屋お渡り行列
御供え物は、古頭屋では三奉に芋頭を置きそこに細い竹を十字にさして固定し、
菊と榊に御幣を飾って活け、ざくろ・みかん・かき・くり・もちの8種と決まっています。
大頭屋では、かき・くり・みかん・もち・昆布の5種です。それぞれ、8つ用意し、宗像神社の
全ての神に御供えします。
古頭屋御供え大頭屋御供えと御神体
古頭屋では、お供えの三奉を運ぶのは、袴姿が凛々しい頭屋の稚児です。
大きな三奉に菊の花が活けてあるので、抱きかかえるようにして持たないと、
持てません。でもそうすると、前が見えにくいので、菊の花の横からちょこっと
顔を覗かせて、行列します。その姿の可愛らしいこと!
頭屋の稚児御供え運び頭屋の稚児御供え運び大頭屋行列
神官により祝詞が読まれ、形と御幣を受け頭屋と頭屋にそれぞれ手渡し、宮座渡しの儀が
終わります。神社を後にされた行列は、受け頭屋の自宅に向かい、神遷しの祝詞により
神は受け頭屋の自宅に鎮座されます。受け頭屋は、頭屋として一年間神をお守りして行かれます。
古頭屋参拝大頭屋参拝
氏神様を守る事は、自分の住む土地を守る事。子孫繁栄を願うこと。なにより、子供から
大人へと成長し、神への感謝や畏敬の念を持つことで、土地を守り伝えていこうという思いが
この祭りを通して、見えてきました。